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Still Life
2016
写真(インクジェット紙、布にプリント)、カーペット

日本の里山風景を色濃く残す茨城県久慈郡大子町は、私にとってこれまで縁もゆかりもない場所だった。そのような土地を見つめるきっかけになったのは、住民K.U氏が過去に撮影した、牧歌的で美しい、しかし異様に絵画的な情景として余所者の女性たちを収めた写真群であった。
特定に場所や時間による流動的な現実の一場面を写真としてくり抜き、その中に現在や過去、未来の様々な事物を凝縮し、関連付け、再構成することで鑑賞者の想像を掻き立てる余地をもった拡大希釈可能なビジュアルイメージへと転換した。写真は確かに現実を映し出すが、写真そのものは物質であるがゆえに、表層の内へと入ることはできない。時間の経過とともにいつ、どこで、何をしたのか曖昧になる。写真の劣化で表層が匿名性を強め、漂白されている様は、人間の記憶そのものを体現しているかのようだった。
ここでは、写真の物質的性質とK.U氏の網膜を通じて認識する視覚と記憶のメタファー、その双方が有する物質的永遠性への批判的姿勢を提示した


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